「…DVDの話だけでいんですか。」 私はふぅ~っとコーヒーに息を吐いた。 「どういうこと?」 速水さんは私を見つめる。 パチパチと目を動かしてる。 まるで、あの日の私みたいに。 「速水さんのこと、」 私は彼にばかって言うときと同じ口調でつぶやいた。 「好きなんですけど。」 「……え?」 私はごくっとコーヒーを飲んだ。 コーヒーとは違う、別の苦い香りをまたかぎながら。 【おわり】