部屋に戻り、着信音を響かせる携帯を手に取る。
画面に表示されているのは、福田 幸枝 の名前。
「……さっちゃんから、電話？ 」
一体どうしたんだろう。
首を傾げながら、画面をタップする。
「もしもし」
戸惑いながら電話に出ると、スピーカー越しからはすすり泣く親友の声が聞こえてきた。
「アイぃ……、ぐすっ。私、わたしっ……」
パワフルなイメージとは程遠い、活気の無いその掠れ声に、私は心配になる。
「さ、さっちゃん？どうしたの？何かあったの？ 」
「実は、私、今日……」
「うん、……」
今にも消え入りそうな声を決して聞き逃すまいと、必死に携帯に耳を強く押しつける。
震えるように息を吸い込んださっちゃんの口からは、次の言葉が飛び出した。
