「手紙の差出人が、会いに来るの?どうして……。今になって、なんで……。もしかして、ストーカー男みたいに、私を殺しに来るとか……」


混乱し、パニック状態の頭では、最悪のパターンしか思い浮かばない。

通り魔に、殺される?

手紙の差出人に、誘拐される?

半泣きでその場に崩れ落ちた私の身体は、レンの腕に抱きとめられた。


「おい、良いか。今日は俺は午後から外出するから一緒にはいれないけど、アイは1日家にいろよ。分かったな? 何があっても、外には出るなよ? 」

そう念を押され、私は涙を零しながら小さくコクリと頷く。

「それでも不安なら、福田にも声を掛けて、家に来てもらえ」

「うん……」


……嗚呼。


レンは一緒には、いてくれないんだね。


優しい言葉を掛けてくれているにも関わらず、心にはそんな我儘な感情が顔を出す。



と、その時。


「大丈夫だ、」っと透き通るようなレンの声が、鼓膜に届いた。


「今日の死を乗り越えて、また明日を迎えるぞ。だから今日は家から出るなよ」