部活を終え部室で着替えていると、先に制服に身を包んださっちゃんが私の肩を掴む。


「ちょっとアイ。手紙のこと、気にしすぎじゃない?」

どうやら彼女は手紙のことを、ただのイタズラだと思って信用していないらしい。

けれど、もし階段で自分から腕を離してと、声を掛けていなければ。

私は、死んでいたかも知れないのだ。


「神経質になりすぎだよ、アイ。イタズラにまんまと振り回されてるじゃん」

「だって、怖いんだってば」

そう答えると、サバサバとしている彼女らしいストレートな言葉が返ってきた。

「だからって、こっちまで振り回さないでよ」

チクリとした小さな痛みが、胸に突き刺さる。

(心配してくれたって、良いじゃない )
(朝から、真剣に話を聞いてくれようとしないし )


『俺たちを知る身近な者が、その手紙を入れたのかも知れない』

朝にレンの言った台詞が、脳裏を過る。


そしてその時の私は様々な苛立ちや不安から、親友に対して言ってはいけない言葉を、口にしてしまったのだ。

「......ちゃんが、」

「え?」

「さっちゃんが、あの”死の手紙”を入れたんじゃないの?」