呆然と立ち尽くしていると、自転車に乗った同級生が、頭を下げてきた。


「あの、ぶつかって本当にごめん。携帯見ながら自転車漕いでて、止まろうと思ったけど間に合わなかったんだ」


「あ、......」

何事も無かったように、遮断棒が上がり、急ブレーキをかけて鈍行していた電車も、いつもの速度を取り戻しつつ走行して行った。


事故の起きる時刻も内容も、自転車の色さえも、あの手紙と一致した。

(まさかあれは、本当に、今日起きる死に関する事故について書かれている手紙じゃ…… )


何も言わない私の代わりに、レンが同級生に注意を促している。

「おい。アイ?大丈夫か?顔真っ青だぞ?」

「あ、う、うん。大丈夫。」

同級生に注意し終えたレンに学校を休むことを勧められたが、やんわりと断りを入れる。

「ホントに、大丈夫だから。さ、学校に行こう?」


難しい顔をして眉間にシワを寄せる彼の手を引っ張り、私は遮断棒の上がった線路を通り抜けた。