鉄槌を振り下ろされたような、ドンッ!という大きな衝撃が背中に走った。


「いたっ!」

突然のことに対応しきれずに、身体は前に押し出される。


私はそのままバランスを崩し、遮断棒の下をくぐり抜けて、線路内へと転がってしまった。


「っ...、一体、何が...っ、」

「アイ!」

レンの声に視線を上げると、そこには生と死が分けられた世界が広がっていた。


「あ、嘘。ここって、今....」

自分が今、遮断棒の降りた線路内にいることを確認する。

瞳には、遮断機を潜り抜けてこちらに駆け寄るレンの姿と、恐らく私にぶつかったであろう自転車に跨る同級生の姿が。


その瞬間、あの手紙の文字が、瞼の裏に鮮明に蘇る。


【8時00分、 踏切を待っている途中、後ろからぶつかってきた白の自転車に押し出され、電車に跳ねられ死亡。】


前方に、猛スピードでこちらに向かってくる特急列車が小さく見える。


カンカンッ、と甲高い遮断機の音が現実味を帯びずに、迫り来る鉄製の殺人マシーンの到来を知らせる。



うそ、私....ここで死ぬの?