殺人鬼からのラブレター

河川敷の下に住む彼の元に近寄る、1人の女子高生の姿が。


「お父さん」

朝に集めた空き缶を仕分けしていると、懐かしい声が彼を呼び止める。

「ゆ、ゆみこ?! 」


川澄 吾郎は予想だにしない来訪者に驚き、言葉を失った。


それは何年も前に生き別れた、実の娘だった。


「テレビのニュース見たよ。びっくりしちゃった。まさか自分の父親がホームレスで、人助けをして報道されてるー、なんてさ。……ずっと会いたかった」


「俺は……お前に会わす顔はないと思っていた。帰りなさい。お母さんが心配するぞ」

「また昔みたいに一瞬に暮らそう?私、お母さんを説得してみせるから。それがダメって言うなら、私、毎日ここに来るからね! 」


「ゆみこ……すまん、ありがとう」


こうして川澄 吾郎は娘との再開を果たし、数ヶ月後。


「お父さん、お母さん! 今度は仲良くしてね? 私からの一生のお願いっ」

「もう、ゆみこったら」

「ああ、約束するよ。父さんはもう一度、頑張ってみせるよ」



妻と和解し、家庭の再構築へと、足を踏み出すのであった。