殺人鬼からのラブレター

「ううん、ありがとう」

微笑みながら彼の方に顔を向けた時、私はあれ?っと違和感を感じた。


なんだかレンの顔、しんどそう……?


ちょうど赤に点滅する踏切の前で立ち止まった彼の顔を、手を離して前から覗き込む。


「レン、大丈夫?もしかして熱あるの? 」

額に手を当てれば、レンは首に巻いているマフラーを口元までたくし上げた。

「ああ、少し。気にするな、大丈夫だ」


私達の目の前では、カンカンカン、と甲高い音を響かせながら、遮断機が降りようとしていた。


「えーっ!あんまり無理しちゃ駄目だよ? 」

「はいはい」

「もー。人のことは心配して優しくするくせに、自分が心配されたらそうやって冷たくあしらうんだから、レンは。そう言うの、ツンデレって言うんだよ? 」

「……ああ、そうかもな」

朝から言動がオカシイと思ったら、熱があったのか。そう妙に納得しながら、彼の隣に戻る。


そして遮断機が完全に降りようとした、その時だった。