殺人鬼からのラブレター

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レンと一緒に登校する約束をした私は、今にも踊り出しそうな気分で玄関の扉を開く。

「行ってきまーす」

「はい、行ってらっしゃい。気をつけてね」

玄関まで見送りにキッチンから出て来たお母さんをチラリと横目にしながら、私は家を後にした。


「よ、行くぞ」


家の前まで迎えに来てくれていたレンと合流し、晴れ晴れとした気分で学校へと歩を進める。

周りには同じ制服に身を包んだ生徒たちが歩きだったり自転車に乗ったりして、同じ道を通学している。


おもむろにレンが私の手を取り、自身のポケットの中に突っ込んだ。

カップルっぽいそんな小さな行為にさえ、ニヤけてしまう。

「あー、幸せだなぁ。ふふっ」

「好きな奴とこうして手を繋ぐのが、夢だったんだろ?」


前から知っていたような口振りで言い放つ彼に、目が点になる。

「えーっ、なんでそんなこと知ってるの?! 」

さっちゃんにしか、言ったこと無いんだけどなぁ。

……もしかして、聞かれてたとか?


「嫌か? 」

あぁ、私が喜ぶと思って、こうして手を繋いでくれたのか。

……素直に嬉しいかも。