殺人鬼からのラブレター

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幸せな顔して告白を受け入れるアイの顔を見て、俺は心の中でシコリのように残っていたタケの言葉を思い出していた。

ー『なんでその役目が、レンなんだよ』ー


なぜ、自分が。そう悩んだことは幾度となくあった。けれど。

……なぁ、タケ。俺、今やっと分かったんだ。


なぜ俺がこの役目を担っていたのかってことを。


「アイ。お前は今、幸せか？ 」

照れながら満面の笑みを浮かべるアイを見て、俺は悟った。


「うん、とーっても幸せだよ！ありがとうね、レン」

死にゆくアイにこんな顔をさせてやれるのは、今日の彼女にとって俺しかいない、ということを。


君に未来がない事は、もうずっと、ずっと前から。


覚悟していた、筈なのに。

心が別れを惜しんでいる。

”加藤 愛という存在は、君しかいなんだ。”


君が欲しい。


離れたくない、嫌だと駄々をこねて叫んでいる。


「アイ、」

短く名を呼び、彼女の温かな身体を、めいっぱい抱き寄せた。

名前を呼ばれ、アイは手で涙を拭いながら静かに瞳を閉じる。

複雑な感情に胸が掻き乱されつつも、俺は彼女に口付けを落とした。


まるで世界が終わる2人かのように、何度も何度も何度も何度も。貪るような、キスをした。