深く息を吐き冷静さを取り戻した俺は、額に手を伸ばして熱を計ろうとする彼女の手を振り払い、いつもの調子で言葉を返す。


「大丈夫、少し熱があるだけだ」

「えー! やっぱり熱あるんじゃん! 」

学校休みなよー、なんて零すアイの提案を却下しながら俺はまた、彼女を事故から救っていく。


そうして、川澄 吾郎を殺した12月3日、17時50分。


ベランダの窓から外を覗くと、福田 幸枝に呼び出されたアイが自転車に乗り、彼女の家に向かう姿が見えた。

……今日はもう事件は起こらないし、大丈夫だろう。


川澄 吾郎を殺したことにより、もう通り魔は起こらないだろうと安心しきっていた俺は、疲弊した気持ちで家でニュース番組を見ていた。


すると、18時00分を過ぎた頃、緊急速報が入る。