「は? タケ、お前、今なんて……」

夕陽も落ち、相手の顔も確認できるかどうか曖昧な夕闇の中で。

タケは俺からの頼みを聞くどころか、嫉妬に心を燃やしていた。


「だってよ、俺の方が、アイを好きなのに……。本気で、救ってみせるのに……なんで、その役目がレンなんだよ」

数々の死を見届け、故にその言葉が頭に来た俺は、タケの胸ぐらを掴んでしまう。

「俺が、アイのこと本気で助けてないって言いたいのか? 」

「そうじゃないのか? お前は冗談言うタイプじゃないから俺はその話を信じるけど、もしその話しが本当なら相方お前は結局、何度も殺してアイを苦しめてるだけだよ」

「じゃぁ、どうしろって言うんだよ!! 」

怒号が飛び交う部室裏、数人の部員達が部室の小窓からチラチラとこちらを覗いていた。

「俺だって、アイのこと……嫌いな訳じゃない。けど、死んでしまうんだ、どうしても……」

「救うフリして、アイを苦しめて殺してる。レン、お前のやってることは、殺人鬼に近いぜ? 」

タケの言葉に俺は頭を抱えながら、その場に崩れ落ちる。

【殺人鬼】、確かにそうかも知れない。

そう言われ、妙に納得してしまう自分がいた。

ならば、俺は……。