殺人鬼からのラブレター

12月2日、19時00分。


【どうして僕を見てくれないの?昨日の朝、僕以外の男と一緒に登校していたね、そんなの許さないよ。僕だけだ。僕だけが、こんなにも君をこんなにもこんなにも愛しているのに。アイちゃんは、妬かせるのが上手だね。それに、踏み切りの中に飛び込んじゃ駄目だよ。死んじゃうよ?勝手に死んじゃ嫌だよ。俺が君を殺すんだから。永遠に私のものになって、一緒に愛し合おうよ?愛してる愛してる愛してる今日貴女に会いに行くよ?楽しみに待っててください】


俺の真似をしてか、そんな狂った手紙を朝にわざわざポストに入れてきた男が、目の前に立ちはだかる。


アイを襲おうと牙を剥くが、コイツは敢え無く泣く子も黙るほど喧嘩の強いタケに殴られ、蜘蛛の子を散らすように逃げた。


翌日、この男の死をアイが見せてきた朝刊で知った俺は、壊れたかのように、腹の底でずっと嗤っていた。


自分という人間が、非現実に揉まれ、人間からかけ離れたドス黒い何かになっていくのを、感じた。