甲高い遮断機のサイレンが、鼓動を高めてゆく……。

また、アイが自転車に突き飛ばされたらどうしようとか、そんな考えが脳内を駆け巡る。

「アイ、」

俺は隣を歩いている彼女の手を引き、歩みを止めさせた。

「ん、レン? そんなに怖い顔して、どうしたの? 」

「あまり前に立っていると、電車が来た時に危ない。もっと後ろで待つぞ 」

アイは「レンは心配性だなぁ」なんて笑いながら、素直に遮断機から離れた。

その直後、白い自転車に跨った生徒が急ブレーキをかけて、遮断機のギリギリ前で止まる。


「危ねぇー。前見てなかった」、そんなことを呟きながら。


胸を撫で下ろす俺と、ニコニコしながら立っているアイの髪を、走り去る電車の風が激しく揺らしていった。