キスをしているときの耳は敏感で、どんな音でも聞き逃さなかった。 時々お参りに来る近所のおばあさんや、 犬の散歩に来る子供の足音… 俺の耳はすぐに気配を感じて、キスを止めた。 「最近、会ったらキスばっかり…」 夏休み最後の日、ゆかりに言われた一言。 その夜は、なかなか寝付けなかった。 窓から見える山をずっと見てた。 削られた山の中の道を走る車のライトが幻想的だった。