新垣を好きな生徒は多い。


堂々と『好き宣言』してる子だけでも結構いるのに…

直のようにこっそり心の中で新垣を好きな子もいる。



だから、新垣に恋心抱いてる生徒って


想像以上に多いと思う。




今まで、失うのが怖い恋愛はしてこなかった。


自分でそういう相手を避けてた。




誰かに捨てられるのも


信じて、裏切られるのも嫌だから、




絶対に自分の気持ちが相手より大きくなんてならないようにした。






新垣は


そんな今までの私の努力を全部ぶち壊しちゃうくらいに…




片想いと言う湖に私を引きずり込む。





辛いよ…


切ないよ…



絶対に無理な相手だよ…





わかってる。



でも、好きでいたいって思った。




報われない恋でもいいと思えるくらい素敵な人だった。





新垣和人って名前をお風呂の壁に書いた。


水滴が垂れる。



雨の日の曇りガラスにも書いた。



『あらがき』


自分がこんな恋をするとは思わなかった。





だけど、臆病者で寂しがり屋な私は…


常に男を傍に置いておかないと不安だった。




好きでもない男と適当にメールして


適当に電話して、たまに遊ぶ。





その時間は空しくて、自分が嫌になる。



学校にいて、新垣を好きだと感じる時の私は、

自分でもびっくりするくらいに純粋でかわいかった。