ある日、

雨の中傘も差さずに登校した私に…



「ほら!!これ使え!」



新垣がぼろぼろの傘を貸してくれた。


新垣の手には、忘れ物や落し物の傘がたくさん。

傘を差さずに濡れてる生徒に1本ずつ渡すために、そこにいた。



別にいいのに…


濡れたい気分だったから。



でも、

すごく嬉しかった。




やっぱり新垣が好きだって思った。


だけど、誰にもこの強い想いは言えなかった。



男を落とす天才だなんてもてはやされてる私は

実際、ちっとも天才じゃない。




本当に好きな人の前でかわいくなんてなれないんだ。


軽いフリして、

本気じゃないフリして


『先生、彼女いんの~?』

なんて話しかけて…『いる』と答えられても平気な顔して…




一人の部屋で泣いた。