待ち合わせの時間を10分も過ぎていた。


店の入り口のショーケースに並んでるケーキを横目で見ながら、俺は店の中へ入る。



すぐに見つけた。


やっぱり、

あの子だった。



あの日と同じ、冷めた目をしてる。

何かに怒ってるような、寂しい目で、俺をじっと見つめていた。



彼女の後ろの席の女が大声で騒いでいて、俺はほっとした。

俺の心臓の音が彼女に聞こえないで済むから。