これで最後。


最初で最後の新垣の部屋。




心と

体に

染み込ませるように・・・



匂いや

感触や

空気を


感じる。




新垣の部屋のクッションをぎゅっと

抱きしめた。



涙を隠す為に、ベランダへ逃げる。



いつも見ていたこのベランダ。


揺れる洗濯物。

ベージュの柵。





ここに立つことのできる女の人は


世界一幸せ者。



そして、


世界一


素敵な人。





新垣に愛される人は


きっと、嫉妬もできないくらいに素敵な人。




だから、



その相手を



私も 好きになる。




少し開けた窓から風が中に入って、

みんなが寒い寒いと言った。



私は、窓を閉めながら、

気付かれないように新垣へ呟く。



届かない声で


心の声で。




―新垣好きだよ。

あんたのおかげで生きてるって感じられたよ。


ありがとう。

ばいばい。