段ボールの横に置かれた新作のコーヒー。

金色に輝くその缶を見て、

私も同じホットコーヒーを買った。




導かれるように、私の人差し指が

そのボタンを押した。


缶が落ちる音に驚いて、白猫はどこかへ走り出した。



「あ!!待てって!」



その人は猫を呼んだあと、はぁ~っとため息をついて立ち上がる。


残ったコーヒーを一気に飲み干して、私の突っ立ている自動販売機の横を通り過ぎた。



通り過ぎた後、振り返る。



私の隣の真っ赤なゴミ箱に・・・



カンカラカーン…




その人の投げた空き缶は、ゴミ箱に入らずに転がった。




「あ~、外れた。」


独り言のようにそう言って、悔しそうに缶を拾いに戻る。


私の存在に気付いていないかのように、一度も私を見ない。




拾った缶を丁寧にごみ箱へ入れて・・・



「笑うなよ・・・ば~か!」


下を向いたまま、小さな声で言った。