「ねぇ…」

「ん?」

平太に手を差し出す。

「何だよ」

「普通は言わなくても分かるんですけど」

「普通は言わないと分からないんですけど」

「…プレゼントは?」

「はっ?」

「だから…誕生日プレゼントよ!
私の!!」

「あげただろ」

「貰ってないよ」

「あげたよ」

「いつ?」

「会ってすぐだよ」

会って…すぐ…って…。

「あの…気持ち悪い笑顔?」

「可愛い笑顔な」

「気持…」

「可愛い笑顔な」

「気…」

「可愛い笑顔な」

可愛くないわ!!

「笑顔が私の誕生日プレゼントなわけ?」

「そう!」

「お金なかったの?」

「ある」

「いくら持ってるの?」

「それはプライバシーの問題で教えられないな」

「ないんだね」

「あるって」

「じゃあ、財布の中見せて」

「それはプライバシーの問題で…」

「ないね。分かった!」

「本当にあるんだよ!
でも、お前、今まで俺のあげた誕生日プレゼント全然活用してないからさ!!」

「あんなの。誰が活用するか!」

「活用しろよ!!
“『セクシーさで男を虜に』”とか“『キュートさで男を胸キュンさせよう!』”って本あげただろ!
それで早く彼氏作れよ!!」