「朝っぱらから、何なの?
気持ち悪いんだけど…」

学校に行くために家を出ると、平太が満面の笑みを浮かべて立っていた。

「気持ち悪いって俺のどこが?」

「笑顔と待ってた事」

「可愛い笑顔と忠犬…ご主人様をずっと待ってた犬のように偉い子の間違えだろ」

「その発言も気持ち悪い。
一体何を企んでるわけ?」

普段は馬鹿にする時しか私に笑顔を見せないし、

学校に行く時に待ってるなんて小学校以来だ。

怪しすぎる…。

「企んでねぇよ。ただ単に…
誕生日おめでとう。それだけだ」

「…ありがとう。
覚えてたんだ…」

「覚えてるよ。親友だろ?」

平太…。

「泣くか? 感動して泣くか?」

「泣くか!! ううっ…」

「泣いてんじゃん!!」

「怒って…うっ…泣いて…ううっ…んの!!」

くそー平太に感動して泣くなんて私…どうかしてるな…。

「お前ももちろん覚えてるよな? 俺の誕生日」

「…うっ…うっ…」

「覚えてるよな? 俺達親友だもんな?」

「うっ…ううっ…ううっ…ううっ…」

「おい! 覚えてないのか?」

覚えてるよ。

10月31日。ハロウィンでしょ?

「おい! 簡単だぞ。分かりやすいぞ。
思い出せよ!」

「ううっ…ううっ…ううっ…」

「ヒント出してやる! その日になると仮装したりするんだ! ほら、もう分かっただろ?」

「ううっ…うっ…ううっ…」

「大ヒントだ! ハロウィンの日!!」

「うっ…ううっ…ううっ…」

「おい! 嘘だろ!?」

平太…。

「本当はお前分かってんだろ?」

あんたが親友で良かった…。

「そこまで馬鹿じゃないはずだ!!」

ありがとう…。