「だってあの二人の会話長いからさ。
気になんだよ」

確かに長いのかも…。

私、完璧泣き止んでるしね。

「あっ!!!
北田さんが魔王の腕を掴んだ!!!」

えっ?

見ると、人にぶつかりそうだった変人の腕を掴んで助けた北田さんの姿があった。

良かった……。

「別に腕を掴んだだけじゃん」

「でもよ…」

「黙れ!」

「………」


トントン、トントン…。

「…何?」

肩、痛いんですけど?

「ん?」

平太が必死である方を指さして、私に訴える。

「見ろ…って?」

平太が首を縦に大きくふる。

この方向って確か…

あの二人が居たん…じゃ…。



「ずっと…ああなの?」

平太が首をさっきよりも激しく縦にふる。


止めてよ…。

私は椅子から立ち上がり、二人に向かって歩いていくと


北田さんの右腕を掴んで


変人の腕から引き離した。

「彼になれなれしく触らないでもらえますか?」

「そんな事…鶴海さんに言われる覚えがないんですけど…」

「彼には彼女がいるんです。
だから、止めて下さい!」

「鶴海さんが…彼女なんですか?」

「そ…」

「違います…」

「彼女じゃないなら…どうして鶴海さんが…」

「私は…彼女の妹なんです。
邪魔…しな…いで下さい…うっ…」

私は掴んでいた北田さんの右腕を離すと

変人の左耳を掴み、教室から出ると


中央広場まで連れてきた。