「魔王の頼みなら聞くのかよ」

「勘違いするな。
お姉ちゃんに嫌いなものを食べさせたり、嫌いなことをさせたりしないよう防止するためなんだから」

「魔王の頼みを聞くなら、俺の頼みも聞いてくれ。
俺の頼みは…」

「聞きません!」

「聞けよ!!」

「どうせくらだらないでしょ」

「くだらなくても聞けよ!!!」

「やっぱりくだらないんだ」

「くだらねぇけど、いいだろうが!!!
なぁ? あれ? 魔王は?」

「そこに居る…でしょ…」

居ない…。

さっきまで私と平太の間に居たのに…。

「おい! あれ、見ろ!!」

平太が指さした方向を見ると、そこには変人と…

楽しそうに話す女子が居た。

その女子はお姉ちゃんじゃない…。

平太が好きな女子だ。

北田さんだった。

「あいつ! 何で北田さんと一緒に居るんだ?
おい! 何でだ?」

「私に聞かれても…知らないよ! ううっ…」

変人のやつ…


笑ってた…。


笑ってた……。


「ねぇ…。そんなに気になるなら。
聞いてこれば?」

「どんな風に聞くんだよ…」

「ストレートに聞けば?
“どうして二人で居るの?”
“二人で何を話してるの?”って」

「それって気持ち悪くないか?」

「ずっと凝視して二人を見ている気持ち悪いあんたが言うかね」