「ただいまー」

疲れたー。

家に帰ってくるなり、リビングに向かうとソファーめがけ飛び込む……ことが出来なかった私。

何で!!!!

ソファーにはそこに居るはずのない男が寝ていたのだ。



「それで?」

「「泣いた」」

「やっぱり」

「ずっと泣いてたの。大声で。なのに起きないの。おかしい人でしょ? 人んちで熟睡するなんて」

「ずっと泣いてるお前もおかしいぞ」

「ん? なんか言った?」 

「言ったか?」

「言ってないか。で、そんな時にお母さんとお姉ちゃんが買い物から帰ってきて…」




「那子、何泣いてるの?
あら、まだ寝てるわ。もう、一時間になるわよねぇ…。
未子! 起こしてあげなさい」

「何で私が…」

「当たり前じゃないの。
あんたの彼氏なんだから」


『彼氏なんだから』

『彼氏なんだから』

か…れ…し…。

「それで?」

「「泣いた」」

「やっぱり」

「だって、得体の知れないやつがお姉ちゃんの彼氏なんて嫌じゃん!!」

「知ってるだろ。同じクラスなんだから」

そう私はその男を知っている。

「東間真洋(あずままよう)。
私と同じ1年1組」

「ほら」

「変人」