「じゃあ…何であの時びっくりしてたの?」

平太あの時すごい驚いた顔してたよ。

「そりゃ、びっくりするだろ。
お前がそんな事するなんて思わなかったんだから」

「私もびっくりだよ」

「お前はびっくりしたようには見えなかったけどな」

「最近思い出してびっくりしたんだよ」

「俺も今、思い出して改めてびっくりしたわ。
その時、お前にドキッとしてた事に」

「平太…」

「なあ、お前はファーストキスまだだよな」

「どう…だったかな?」

「まだだろ?」

「それが…どうしたのよ!!」

まだですよ!!!

「俺のファーストキスはお前だよな」

「そうなんでしょ!」

「お前のファーストキスは

俺がしたらダメか?」

「平…太…」

平太の顔が近づく。


「おい…。
泣くなよ…」

「ご…うっ…ごめ…うっ…ん…」

「謝るなよ…。
お前は悪くない…」

「で…うっ…も…」

「俺が悪かった…。
ごめんな…」

「悪くな…うっ…いよ…。
私が…」

「お前…。
魔王が好きだったんだな」

「えっ…」

「中央広場で北田と話してただろ…。
その話…聞いたんだ」

「そう…うっ…だっ…うっ…たんだ…」

「ごめんな…。
気づいてやれなくて…。

一人で悩んで…

辛かったんだろ?」

「平…うっ…太…ううっ…」