「分かった…。それ以外は…」

「あっ!!!!

お前が公園から家に帰れなかった事があったな!!

あの時に頭をうっておかしくなったんじゃなかと心配したな…」

「その時に私がした事…覚えてる?」

「お前がした事?
何かしたのか?」

「うん…。
覚えてる?」

「そうだな…」

「覚えてないなら別にいいんだけど…」

「俺の頬にキスした事か?」

「覚…えてたの?」

「覚えてるに決まってんだろ。
俺のファーストキスだからな」

「ちょっと、その言い方やめてよ。
勘違いされるから」

「ああ。口にしたと思われるか」

「…わざとその言い方したんでしょ」

「頬にされたにせよ。
俺のファーストキスには変わらないだろうが」

「ファーストキスかなんて知らないわよ…」

「ファーストキスなんだよ」


「…そう…ですか…」

「で?」

「ん?」

「『ん?』じゃねぇよ。
それがどうしたんだよ」

「勘違い…してるかな…と思って…」

「勘違い?」

「私がその…頬にキスしたのは…
好…」

「“私はあなたのお姫様”
アニメのマネだろ?」

「知ってたの?」

「その時、流行ってたからな。
クラスの女子が男子にやってるのを見た事があったし」

「他の子達も…やってたんだ…」

「お前が心配してるような勘違いなんてしてないから、安心しろ」