そう意気込んで入った教室には、既にグループがちらほら。

僕の席は……あった。

一番後ろ。最高。
なんとぼっちに最適な場所。

真ん中とかだったらどうしようもなかったけど、端、最高。


そう思って席に着くと、突然教室がざわざわとし始めた。


「なんだあの子、見たことある?」
「ないない、引っ越してきたとか?」
「顔やべぇ」
「半端なく、かわいい。」


誰がかわいいかかわいくないかなんて地味男の僕には関係ないね。
僕にはこの本があったら今幸せに生きていけるから。


「おはよう。私、北条菜奈。よろしくね!」


砕け散った、前言撤回。

この子俺の前か……かわいさ関係ある!
美人だ……


ストレートヘアーに大きな目。
微笑むと紅潮する頬。


そして何より、俺に初対面で引かなかったこと。


あんなにさらっと挨拶する子、初めて見た。


いや、そういう子なのかもしれないけどさ。


「ねぇ、名前何?」
「あ、僕?
堀川優、よろしくね。」
「優くん。OK、よろしく。
あ、そのステッカーってもしかしてフェスのやつ?!
それ私も行ったよ!
え、どこのバンド目当て??」


まさかの。


趣味が。


かぶる。



「あ、北条さんも行ってたんだ、
僕はglasses目当てで行ったよ」


返事が極めてそっけないのは緊張してるからです伝わって……!


「私も!glassesの音楽大好きなんだ〜」
「いいよね。あれ。」


そんなこんなで盛り上がり、知らない間に僕は北条さんにCDを貸すことに決まっていた。