楓莉は瑠唯の手を勢いよく引いた。 瑠唯の手からゆっくりと剣が離れていく。 剣が軽く音を立てて床に落ちた。 落ちたと頃には黒い光が消えていた。 そこにいたはずの掟すら姿がなかった。 まるで最初から何もなかったかのように いつもの薄暗い黎の部屋だった。 瑠唯の手を握っていた楓莉は楓を見つけて 手をほどき楓のもとへ駆け寄る。 楓を抱き起し目にかかる髪をゆっくり はらい、頬に手を添える。 まるで生きているのかを確かめるように。