漂う嫌悪、彷徨う感情。



猛烈に働き、気付けば退社時刻になっていた。

今日はノー残業DAY。 仕事を終えた社員たちが続々と事務所を後にする。 帰宅して行く社員たちを追う様にオレもデスクの上を片付け、パソコンをシャットダウンさせた。

ふと美紗のデスクに目をやると、美紗はそこに居らず、既に美紗のパソコンの電源は落ちていた。

美紗、もう帰ったのか?? 早く美紗を追い掛けないと。 話の続きをしないと。

デスクの下に置いていた鞄を慌てて拾い上げ、事務所を飛び出した。

エントランスで周りを見回しながら美紗を探していると、

「・・・え。 なんで??」

美紗ではない、ここにいるはずもない人間の姿が目に入った。

オレの視線に気付いたのか、そいつがこっちを見て軽く会釈をすると、オレの方に歩いてきた。