「まぁ、オレの大事な大事な可愛い部下の佐藤くんのお願いだからねぇ。 大事な大事な可愛い部下の木原さんのお願いを蹴って佐藤くんのお願いを聞き入れるんだから、頑張るんだよ!! ・・・というかオレも、どこの馬の骨かも分からん男に木原さんを嫁に出す気にならんからな。 佐藤くんだったら安心だと思って祝福してたんだからな」
部長は、美紗の事をあたかも自分の娘の様に話すと、小さな手で作った小さな拳を『ファイト、佐藤くん!!』とオレに向けて突き出した。
「頑張ります。 お時間頂戴して申し訳ありませんでした。 部長とお話出来てなんか・・・元気出ました。 ありがとうございました。 仕事戻ります」
オレも部長にガッツポーズを返し、頭をさげると、
「いつでも聞くよ。 遠慮なく」
その頭を部長がガシガシ撫でた。
なんか、泣きそうになった。 何気にオレ、相当弱っていたらしい。
「はい。 宜しくお願いします」
出てきそうな涙と鼻水をすすり上げ、部長に笑顔を見せると、自分のデスクに戻った。



