漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・そんなのダメに決まってるだろ。 なんで美紗が悪者にならなきゃいけないんだよ。 おかしいだろ。 オレ、美紗がみんなから変な目で見られたり、辛い思いさせられたりするの耐えられない。
・・・オレ、みんなに本当の事話してくる」

『早く誤解を解かなければ』と会議室を出て行こうとしたオレの手を美紗が掴んだ。

「ワタシが真琴ちゃんにいじめられてた事、みんなに話すんですか?? 今日の朝、約束してくれたじゃないですか。 ワタシのプライド、守ってくれるんじゃなかったんですか??
それに嫌味を言わせてもらうと、ワタシ、変な目で見られたりするのは真琴ちゃんのおかげで慣れてるし、免疫もあるから大丈夫です。 あの頃と違って、相手は加減を知っている大人ですし。 あの頃に比べたら痛くも痒くもないんです。
それと、ワタシの姿ももう少しの我慢で見なくて済む様になりますから。 さっき、部長と課長に退職の希望を伝えてきました。 後任が決まって、引き継ぎが終わるまでの間だけ辛坊してください」

次々と出てくる美紗の驚愕発言に愕然とする。