漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・小田さんが嘘を言っていないんだとしたら、美紗が小田さんに嘘吐いたって事??」

小田さんと仲が良く、小田さんの性格を知っている美紗が、小田さんの口の軽さを利用して自分の悪評を広めた??

なんでそんな事・・・。

「・・・これが、自分のした事に対するワタシの落とし前の付け方です。 佐藤さんの不利益になる事は一切しません。 どうかこれで許して頂けませんか??」

美紗が、オレに向かって腰を折り曲げ頭を下げた。

「許すとか許さないとか、そういう事じゃなくて!! なんでオレに何の相談もなくそんな事したの??! しかもオレのいない間に。 ちょっとやり方が酷いよ、美紗!!」

美紗の肩を掴んで顔を上げさせる。

「・・・だって、佐藤さん優しいじゃないですか!! 結婚待つって言ってくれたり、相談したってどうせ自分が盾になっちゃうでしょう??! ワタシの頭ではこれしか思いつかなかった。 自分の知らない間に勝手に動かれたのは、気分が悪いと思います。 それは本当にすみませんでした。 ・・・でも、佐藤さんにこの計画に入ってきて欲しくなかった。 自分の責任は自分で取りたかったから」

見る見るうちに美紗の瞳に涙が溜まり、頬を伝って床に零れ落ちた。