漂う嫌悪、彷徨う感情。


その声に美紗が1歩後ずさった。

脅えた目でオレを見る美紗は、オレと真琴を重ねて見てはいないだろうか。

恩着せがましい言い方だけど、オレは美紗の為に怒っているというのに、美紗にそんな顔をされるのは辛い。 美紗に責められている様で悲しい。 神経が磨り減る。 正しいと思っている事を口にするのが、何故許されないのだろう。

「・・・小田ちゃんは、誰から聞いたって事になっているんですか??」

美紗が声を震わせながらオレに尋ねる。

美紗に怖がられている事が、辛い。

「・・・美紗から聞いたって」

「・・・小田ちゃんは、嘘吐きな子ではないですよ」

美紗は小田さんを庇いたいのだろうか。

しかし、美紗の言う通り、小田さんは嘘吐きではない。 ただ、『これは内緒の話なんだけどね』と前置きをして秘密の話を拡散させてしまう少し口の軽い子ではある。

『小田ちゃんは嘘吐きではない』『口が軽い子』・・・。

・・・と言う事は。