漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・何が『からかっただけ』だよ。 何がいじめだよ。 オマエのやった事は殺人未遂じゃねぇか!! この犯罪者が!!」

憎悪で自分に歯止めが利かなくなる。

自分でも気が付かないうちに、拳を固く握りしめ、真琴に向かって振り上げていた。

「本当なの?? 真琴のお兄さんの話は本当?? 美紗ちゃんの話は??」

オレから真琴を護る様に、和馬が真琴とオレの間に身体を滑り込ませ、オレを引き離すと、真琴と向き合った。

「・・・和馬は誰の言葉を信じるの?? ワタシ?? お兄ちゃん?? それとも美紗?? ワタシを信じてくれないなら、何を話しても無駄だよね」

まるで『自分はハメられている』とでも言いたげなセコイ言葉を並べる真琴。

「オレは、疑わしくない方を信じる」

しかし、和馬はそんな浅ましい真琴の言葉を突っぱねた。