漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・真琴。 それ、本気で言ってるの??」

真琴の悪行にも、その言い訳にも愕然とする和馬。 さっきのオレを見ている様だった。

「・・・・・・」

さすがに『本気です』とは答えられず、真琴は和馬から視線を逸らした。

「美紗も同じ事を言っていましたか??」

美紗はきっと、他にも酷い事をされたに違いない。 真琴に負わされた美紗の心の傷に、美紗の婚約者として、真琴の兄として、責任を持ちたいと思った。

「・・・オレには、『口の中に虫と土を詰め詰め込まれた』って。 『便器に頭を押し込まれて溺れさせられた』って」

和馬の口から出てきた言葉に、怒りを通り越して、妹に殺意を覚える。

ダメだ。 オレ、真琴の責任なんか負えない。 負いたくない。 赦せない。 赦さない。