「・・・・・・」
それでも口を噤む真琴。 さっきオレらが聞いた話を和馬にしてしまったら、この2人の関係は確実に終わるだろうから。
・・・だけど、そんな事はオレの知った事ではない。 だって、美紗とオレの関係が危機的状況に晒されているのだから。 それに、
「美紗は何て言ってましたか?? 真琴からいじめを受けていた話でしたか?? 真琴が話そうとしないので、オレが話します。 オレは美紗の婚約者です。 美紗の事が知りたい。 教えて下さい」
美紗が話した内容を知りたかった。 真琴に気なんか遣う気もなければ遣いたくもない為、白状しない真琴の代わりにオレが真琴の悪事を暴露した。
「・・・美紗ちゃん、中学3年間ずっと真琴たちにいじめられてったって言っていました」
和馬は、口を割らない真琴をチラっと見た後、眉間に皺を寄せながらオレの問いかけに答えた。
彼氏に残念な視線を向けられても、真琴は『最悪、美紗』と呟き、美紗を恨み続けていた。
「何をされたって言ってましたか?? オレがさっき真琴から聞いたのは『カタツムリとカエルを炙って食べさせた』と『机に花を生けた花瓶を置いた』でした」
そんな真琴は無視して話を進める。
言いながら、美紗の苦痛を想い、胸が苦しくなった。
「良かれと思ってよ!! エスカルゴとかカエルとか使う料理あるじゃない!! 美味しいものを食べさせてあげようと思ったの!! 美紗、片親だからロクな物食べれてないんじゃないかと思ったの!! 花だって、綺麗だったから飾ってあげたのよ!!」
真琴が苦しい言い訳をしながら、美紗の家庭を貶した。



