漂う嫌悪、彷徨う感情。


「大丈夫です。 タクシーに乗せて帰らせましたから」

「・・・良かった。 ありがとうございます」

和馬の言葉に胸を撫で下ろす。

「・・・何なの今更。 本当に陰険。 美紗って」

真琴の目には怒りが宿る。

この期に及んでまでも美紗を悪く言う真琴は、美紗にした仕打ちを全力で和馬に話す気はないらしい。 と言うか、出来るわけがない。 捨てられるに決まっているから。

「さっき言ったじゃん。 美紗ちゃんは話したがらなかったって。 今更な話をさせたのはオレ。 真琴は中学時代に何があったのか、何も話してくれないの?? 話さないって事は美紗ちゃんの話を事実だと認識しても良いって事だよね??」

和馬が真琴の態度に嫌悪感を滲ませた。