「美紗ちゃん、全然話したがらなくてさ。 でも、真琴が関わる話なら聞きたいと思うでしょ。 彼氏としてさ。 だから美紗ちゃんに無理矢理聞き出した。 だから、美紗ちゃんが泣いたのは、同情を誘う為じゃなくて、ただただ辛かったからだと思う。 美紗ちゃん、言ってたよ。 真琴のいないところでの真琴の悪口は欠席裁判になってしまうから、自分の話は話半分で聞いて欲しいって。  話したがらなかった上に、話半分で聞いて欲しいって言っていた美紗ちゃんが、オレの同情を欲してるとは思えなかったけどな。
 オレ、美紗ちゃんの話、全力で聞いてきたからさ、真琴の話も全力で聞かせて欲しいんだよね」

オレに掴みかかられても、和馬は至って冷静だった。

頭に血を上らせる自分が恥ずかしくなり、和馬の胸元から手を放した。

「失礼な事をしました。 すみません。 ・・・あの、美紗の様子はどうでしたか?? 美紗、フラフラしてたのにオレ・・・追いかけられなくて・・・」

恐怖に、オレに、あんな風に脅える美紗を追いかける事が出来なかった。

呼吸も歩く事さえままならなかった美紗は、ちゃんと家に帰れたのだろうか。