「オマエがワタシに謝れよ。 デートだって言ってるだろうが!! 折角髪の毛セットしたのにー!!」

オレを睨み付けながら手櫛で髪を直そうとする妹が、

「・・・・・・」

オレの後ろで小さくなる美紗を見て手を止めた。

そんな妹に気付いた美紗が、横髪で顔を覆う様に更に下に顔を向けた。

美紗の様子がちょっと気になって、

「美紗??」

美紗の顔を覗こうとした時、

「おーい。 いつまで玄関にいるのー?? 中に入ってこいよー。 お父さん、淋しいだろー」

リビングでオレらを待っていたオトンが業を煮やし、玄関で立ち話を続けるオレらを大声で呼んだ。

「はいはい。 今行きますよー」

オトンに大きな声で返事をしたオカンが、

「もう。 お父さん、淋しがり屋さんなんだから。 お父さん、美紗ちゃんが来るの楽しみにしてたのよ。 早く顔見せてあげて」

とオトンに呆れながら美紗を手招きした。

オトンも美紗に好意的。

オレと美紗の結婚には何の障害もない。