漂う嫌悪、彷徨う感情。




---------週が明けて、月曜日。

出社直後に美紗と2人で部長のデスクに向かう。

「おはようございます、部長。 あの、部長。 ワタシと美紗、予定通り結婚します」

社内で1番に報告したかったのは、オレの味方をしてくれ、応援してくれた部長だった。

「おはよう、佐藤くん。 そっかー。 良かった良かったー!! ってオレ、同じ人間から同じ人と結婚する報告を2回受けたの、人生で初めてだわ。 再婚報告は前に1回あったけど」

『わははは』と豪快に笑いながら、『良かったな』と、もみじのような手でオレの二の腕を揺する部長。

「・・・お騒がせして申し訳ありませんでした」

そんな部長に気まずそうに頭を下げる美紗。

「まぁ、色々あるよね。 幸せにしてもらうんだよ、木原さん。 これからもこの会社で働いてくれるんだよね?? 引き続きよろしくね」

身長が美紗と同じくらいの部長は、美紗と視線を合わせて笑いかけた。

「はい!! これからもご指導よろしくお願いします」

美紗が、少し涙目になりながら部長に元気よく返事をした。

「その、『色々』なんですけど・・・。 朝会の時にちょっとお時間頂けないかと・・・」

これから大嘘を繰り出さなければならないオレは、目に涙を溜めた美紗の頭を撫でてあげる余裕もなく、部長に話を切り出す。