「・・・なんだその、クソしょうもない理由」
怒りで今度はオレの手が震え出す。
「お兄ちゃんには分からないだろうね。 下に誰もいない怖さは。 お兄ちゃんの下には常に出来の悪いワタシがいたから、そんな気持ちになった事がないのよ。 誰かの上にいるって事が、誰かが下にいるって事が、安心になるのよ。 自分より下の存在がいれば、馬鹿にされる事もないし、イジメの標的になる事もない。
家の中で、ずっとお兄ちゃんの下で不当に扱われてたのに、学校でまで下にいようなんて思えなかった」
日本語のはずなのに、全く理解が出来ない真琴の主張。
「・・・不当?? はぁ?? オトンもオカンもちゃんと平等にオレたちを育ててくれただろうが。 初めは塾だって同じ数習わせてくれてたし。 途中で真琴は逃げ出したけど。 被害妄想が甚だしいんだよ、真琴」
オレには真琴が、卑劣な自分を正当化しようとしているようにしか見えない。



