漂う嫌悪、彷徨う感情。


2人で朝食を選び、テーブルに持って行こうとした時、

「・・・真琴のお兄さんがいるね。 どうする?? 行く??」

視線の先に1人でつまらなそうに朝食をとる勇太くんの姿が見えて、日下さんが立ち止まった。

「日下さん、気まずくないですか?? 佐藤さんとそんなに仲良いわけじゃないですよね??」

「じゃなくて、美紗ちゃんが1人で行く?? って事。 真琴のお兄さんと食べたいでしょ??」

トレーで両手が塞がっている日下さんが、肘でワタシを小突いた。

きっと日下さんは、ワタシに気を遣っているのだろう。

「何言ってるんですか?? ワタシは日下さんと楽しむ為に温泉に来たんですよ。 いくら佐藤さんの事が好きだからって、日下さんを蔑ろになんかしたくないです。 ワタシ、今回旅行に来て本当に良かったと思っているんです。 凄く凄く楽しいなって思っているんです。 日下さんと最後まで楽しみたいと思っているんです」

『向こうのテーブルが空いてますよ。 行きましょう』と、自分も両手が空いていない為日下さんに目配せで移動を促す。