漂う嫌悪、彷徨う感情。


朝食は大広間でのビュッフェ形式だった。

大広間に入ると、仲居さんに食器が乗せられたトレーを手渡された。

ズラっと並んだ選び放題食べ放題の朝食に、朝からテンションが上がる。

「美紗ちゃん、目輝きすぎ」

「温泉たまごは必須ですよね。 でも、ハムエッグもおいしそうですよね。 どっちもっていうのはたまご食べ過ぎですかね?? でも、今日くらいいいですよね?!」

日下さんの言葉はちゃんと聞こえているけれど、目の前の料理たちの『ワタシも美味しいよ』『僕の事も食べてみて』という絶対に聞こえるはずのない声を勝手にキャッチしてしまい、日下さんのツッコミに全く沿っていない返しをしながら、『食べる』などと言われてもいないのに、日下さんのトレーと自分のトレーに温泉たまごを乗せた。

「勝手に乗せるし。 食うからいいけどさ」

日下さんが呆れながら笑った。