日下さんの傍に近付いた時、布団で半分隠れた昨日受け取ってもらえなかったお金の入った封筒が見えた。
恐らく日下さんは、女性からお金を受け取るのが嫌いな性格なのだと思う。 何を言っても貰ってもらえない様な気がするので、日下さんが寝ている事を良い事に、日下さんの旅行鞄のサイドポケットに封筒をそっと差し込んだ。
そして、何食わぬ顔で日下さんの肩を揺らす。
「日下さん日下さん、朝です。 朝ごはんの時間です。 大広間に行きましょう」
「・・・もうちょっと寝たいから、オレはいいや。 元々朝メシ食わない派だし」
起きたくない様子の日下さんは、ワタシの手から逃れる様に寝返りを打った。
「何言ってるんですか、日下さん。 温泉たまごやお漬物やお味噌汁が何故か異常な程に美味しい旅館の朝食を食べない気ですか?? ちょっと頭おかしいですよ」
『逃すまい』とさっきよりも激しく、最早肩ではなく日下さんの身体全体を前後に揺する。



