漂う嫌悪、彷徨う感情。


「ところで美紗ちゃん。 オレ、浴衣の女の子が隣で寝てると思うと、ムンムンムラムラしそうなのね。 健康優良男子だし。 だから、強めの酒飲んで泥酔した勢いで寝てしまおうと思ってるのね。 と、いう事で勝手にひとり酒してても良い??」

ワタシに伺いを立てている様で、飲む気満々の日下さんが、電話の横に立てかけられていたメニュー表に手を伸ばした。

「実を言うと、ワタシも隣に日下さんがいると思うと眠れる気がしないんですよ。 ワタシも飲みたいなと思ってました」

寝られそうもないのは、ワタシだって一緒だ。

「美紗ちゃんまで酔っ払ってどうするの?! 2人共酔っておかしな事になったらどうすんのさ。 オレ、酔った勢いでヤった男女が『あの時は酒が入ってたからー』とか『酔ってて何も覚えていない』とか言うの、嫌いなんだよね。 盛った男女の態の良い言い訳にしか聞こえない。 万が一、オレが変な事しそうになった時、美紗ちゃんはシラフでいなきゃ逃げられないでしょ!! 美紗ちゃんはもう飲んじゃダメ!!」

日下さんが、ワタシにメニュー表を見せまいと、ワタシに背を向けた。