漂う嫌悪、彷徨う感情。


豪華料理をたらふく食べ、ある程度酔いを醒ますと、日下さんと大浴場へ。

「それじゃあ、また後で」

男湯と女湯の扉の前で二手に別れようとした時、

「貸し切り露天風呂に入りたかったのになー。 今からでも予約取れるかなー」

日下さんが立ち止まり、不服そうに唇を尖らせた。

『一緒に入ろうね、美紗ちゃん』

日下さんが真琴ちゃんの旅行会社でふざけて言った言葉を思い出してしまい、それも今の発言も冗談だと分かっているのに耳が熱くなった。

「そんなに露天風呂が良いなら、仲居さんに聞いてみたらどうですか?? ワタシは大浴場に行きますけど」

いちいち照れてしまっている事に気付かれたくなくて、女湯に逃げ込もうと扉の取っ手に手を掛ける。

「冷たいなー。 美紗ちゃん」

日下さんがワタシの浴衣の袖を引っ張った。

「日下さんがエロいんですよ!!」

そんな日下さんを振り切り、勢いよく女湯の扉を開き、中に入ると速攻で閉扉した。

男の人と来た温泉での軽いエロトークが、必要以上にエロく聞こえてしまうワタシは、相当なドスケベなんだと思う。