漂う嫌悪、彷徨う感情。


「日下さん、どこの国の人でしたっけ??」

「生まれも育ちも父も母も日本。」

『クックックッ』

そして2人で笑い合う。 誰かと笑い合える事は、こんなにも楽しい。

「じゃあ、すみませんが・・・」

日下さんにグラスの口を向けると、

「Not at all♬」

日下さんがエセ外国人を続けながら、ワタシのグラスにビールを注いでくれた。

日下さんからビール瓶を受け取り、今度はワタシが日下さんにビールを注ぐ。

「では、遅ればせながら、乾杯!!」

お互いのグラスをぶつけると、2人で喉を鳴らせながら飲んだ。

「おーいーしーいー!!」「何ココ、天国!!」

日下さんと極楽を噛み締める。

美味しい料理に美味しいお酒。 最大の楽しみだった極太の蟹。

なんて素晴らしい時間なんだ。 と、夢心地になりながらも、隣の部屋が気になってしまう。

勇太くんも今、同じ料理を食べているのだろうか。

おまんじゅうでお腹いっぱいになっていなかっただろうか。

勇太くんも楽しめているだろうか。