漂う嫌悪、彷徨う感情。


「・・・確かにどうでもいいですね。 ワタシも食べたい!! いただきます!!」

何となく日下さんと感動を共有したくて、ワタシも箸でマグロのお刺身を撮んだ。

マグロをお醤油につけ、ほぼ2人同時に口の中に入れる。

目を大きく見開き、お互いの顔を見つめ合い、

「うーまー!! 何コレ!! やばい!!」

絶品のマグロに感嘆した。

「料理に気取られてうっかり忘れてたけど、ウチラ乾杯してないよ。 美紗ちゃん、グラス持って。 ビール注ぐよ!!」

『さぁさぁ』と言いながらビール瓶をワタシに向ける日下さん。

会社でもこうして上司や周りに気を遣って、可愛がられて親しまれているのだろう日下さんが目に浮かんで、ちょっと面白い。

「ワタシが注ぎますよ。 グラス持って下さい、日下さん」

『お先にどうぞ』とばかりに、日下さんの持っているビール瓶に手を伸ばすと、

「ladies first」

日下さんがワタシの手を避け、いつかみたいに外国人ぶった。

「ジェントルマンですね、日下さん」

「発音が違う。 【gentleman】ね。 Lの発音、難しいから気をつけて」

そして、ワタシの褒め言葉にもダメ出しをする日下さん。