漂う嫌悪、彷徨う感情。


「はーい。 お願いしまーす。 美紗ちゃん!! 来たよ来たよ!! 豪華海鮮調理ー!! 蟹ー!!」

『ごめん、美紗ちゃん。 今日は楽しむ日なのにね』と再度ワタシの頭を撫でた日下さんが立ち上がり、『どうぞー』と言いながら襖を開けると、仲居さんを中へ招き入れた。

仲居さんによってお膳がセットされると、

「凄いね、美紗ちゃん!! ホントに豪華だね!! 美味そー!!」

日下さんが、何もなかったかの様にテンションを上げ、『早速食っちゃおう!!』と、お膳の方へとワタシの手を引いた。

「・・・おぉ・・・。 贅沢すぎる。 こんなん食べちゃってバチ当たらないかな」

厚さ何センチあるの?? くらいの『お尻に優しい』を通り越して『お尻をただただ甘やかす』くらいの厚みを持つ座布団が敷かれた座椅子に腰を下ろし、目の前でキラキラ輝く魚介たちに、ワタシの目もキラつく。

「全然OKでしょ。 こう言うのも何だけど、このくらいの贅沢でもしなきゃ、美紗ちゃんの不運って相殺されないでしょ」

『目移りするねー。 どれから食べればいいんだろ』と日下さんの目も輝く。

「明るくサラっとワタシの事『不運な女』呼ばわりしましたね」

「今、そんなのどうでも良くない?? 早く美紗ちゃんも箸持って!! ハイ!! いただきまーす」

ワタシの突っ込みさえも軽く流した日下さんが、『とりあえず、刺身!!』と箸でマグロの切り身を挟んだ。